醤油(しょうゆ)の香りが鼻孔をくすぐる。瀬戸内海に浮かぶ人口約3万人の小豆島(香川県)に渡り、醤油蔵や佃煮(つくだに)工場が集まる地域「醤(ひしお)の郷(さと)」を訪れた。ここでは木桶(きおけ)を使った伝統的製法で、今も醤油が作られている。
黒い焼杉板の壁を見ながらしばらく歩くと、オリーブ畑に出た。「あ!」と観光中のカップルらが駆け寄るのは、工業デザイナー、清水久和さん(49)の彫刻「オリーブのリーゼント」。島の名産、オリーブがなぜかリーゼントでキメている。設置直後の今年3月に初めて見たときは唐突感、違和感を楽しむアートなのだろうと理解した。でも7カ月ぶりに再会すると、なつかしいような、愛着さえ感じることに自分でも驚く。
オリーブ畑の所有者、石井岩男さん(62)も同じらしい。「最初はペンギンかなと思った」と笑う。「『これを見たかったんやー』って言うてね、全国からたくさんの人が来てくれて、笑顔で帰りよりますわ」。すっかり島の名所だ。