「名所を点で巡るような一度限りの『観光』ではなく、人と人が出会うことで生まれる『関係』をつくりたい。この島に何度も来たい、と思う人が増えるように」。小豆島町の臨時職員として、この地域プロジェクトに関わる井上彩さん(31)は大阪出身。
同じく大阪を拠点にものづくりや地域性、生活の知恵などを大切にするクリエイター集団、graf(グラフ)は醤の郷で「小豆島カタチラボ」を展開している。制作物の一例を挙げると、88種の桜の花びらのサンプルと88色の折り紙。graf広報の小坂逸雄さんが説明する。
「20年ほど前、小豆島を桜の名所にしようと八十八霊場に1種ずつ、異なる桜を植え始めた高校教師がいたそうです。地元の人から話を聞いたスタッフが調査したところ、49種現存することがわかった。残りの確認できない品種も突き止め、カタチにしてみました」。埋もれかけていた物語が、こうして可視化された。