その結果、冷蔵は約3キログレイ、冷凍は約5キログレイの照射で、十分な殺菌効果が見込めることが分かった。ただ、海外でひき肉の殺菌は1キログレイの線量で十分との報告もあり、担当者は「レバー内部の殺菌には当初思っていたよりも高い線量が必要だった」と打ち明ける。しかし、食品の規格を決める国際機関「コーデックス委員会」が定める線量の上限は原則10キログレイ(正当な必要性があれば10キログレイ以上も可)で、冷蔵・冷凍ともに実用化に問題のない線量といえる。
■ビタミン減少も
レバーの生食にはビタミンが取れるメリットもある。冷蔵の場合、照射によってビタミンB1が87%に減少、ビタミンCとビタミンB6もわずかに減少していた。冷凍の場合は影響がなく、また、冷蔵・冷凍ともに脂質やタンパク質、水分などの栄養成分は変わらなかった。
見た目やにおい、味が照射によって変わるかどうかも大事な要素だ。ひき肉は照射によって赤色が退色することが分かっており、レバーでも色の変化が心配されたが、肉眼で明らかな色の変化はなかった。一方、においは調査にあたった10人全員が照射前のものと違いを感じた。