この結果について、厚労省は「放射線照射によってレバー内部が殺菌できるという有効性は確認できた」。しかし、「実際の流通に即した安全性の確認が不十分。照射によってできる物質の安全性を評価する必要もある」として、引き続き殺菌法を検討している。
食品照射に詳しい日本原子力研究開発機構・量子ビーム応用研究部門研究主席、小林泰彦さんは「放射線照射は世界中で利用されている食品の安全を守るための技術。これまでの研究で、照射でレバー内部を十分殺菌できることが証明されている。豚など禁止されていないレバーが生食されている現状を考えれば、一日も早く、照射で安全を確保したレバーを提供できるようにすべきではないか」と話している。
■宇宙食や防災食にも利用
日本では、食品への放射線照射はジャガイモの芽止め防止目的だけに認められている。海外では香辛料や肉・魚介類、野菜、果物、また、宇宙食や防災食にも照射が利用されている。
世界では約130の照射施設があるが、ここ数年、インドやベトナムなどアジア諸国では照射施設の建設ラッシュが起きている。植物検疫処理で照射が必要なためで、照射したマンゴーやパパイアなどの果物は米国やEU(欧州連合)に輸出されている。