【江藤詩文の世界鉄道旅】マッターホルン・ゴッタルド鉄道 鉄道、バス、ケーブルカー…“公共交通機関”は乗りもの三昧

2013.12.14 18:00

マッターホルン・ゴッタルド鉄道。運行は時間に正確で、駅ではバスやロープウェイまで含めて、目的地までの乗り継ぎルートと時間を調べ、プリントアウトしてくれる

マッターホルン・ゴッタルド鉄道。運行は時間に正確で、駅ではバスやロープウェイまで含めて、目的地までの乗り継ぎルートと時間を調べ、プリントアウトしてくれる【拡大】

  • マッターホルンへの拠点となるツェルマット駅
  • 備え付けのサイドテーブルにはルートマップが。移動時間も飽きることなく景観を楽しめる
  • マッターホルン・ゴッタルド鉄道の車内。開放感抜群のパノラマカーが、普通車両なのだ。窓もよく磨かれていて、心ゆくまでアルプスの風景を満喫した

 公共交通機関だけを利用して旅をする。ちなみにタクシーは含まない。なんだか若いころのバックパッカー旅行を思い出すが、スイス・アルプスの旅ではこれがスタンダード。鉄道駅を拠点に、かつては山間部の村々でくらす人々のために馬車で、いまはバスで郵便物を届けて回るという黄色いボディの「ポストバス」、その先にはケーブルカー、ロープウェイと、かゆいところに手が届くようなきめ細やかさで、公共交通機関が張り巡らされている。そもそも、団体旅行向けの大型観光バスは、規制されているエリアも多い。

 各種の乗りものや乗り場は、「大きな荷物を抱えて右往左往するであろう、ことばを話せない外国人をうまく回す」ことを前提につくられているかのようだ。スイスは4つの国語を持つため、ピクトグラムが発達したという背景があるからか、はじめて旅をしても、あまり迷うことがない。

 マッターホルンを臨むツェルマットから、世界遺産アレッチ氷河まで、“乗りもの三昧”の主軸になるのがマッターホルン・ゴッタルド鉄道だ。スイス南アルプスを横断する路線で、日本でも有名な「氷河急行」の一部ルートを走行する。車両は窓が大きく、天井からも光が差し込む展望車。両側に息をのむパノラマが広がる。いかにも観光列車らしい装いで、旅行者の利用も多いが、じつは地元の人の生活の足でもあるため、普通列車の運賃のみで乗車できる。

 その先で乗り継いだバスでもケーブルカーでも、地元の生活者と観光客が乗り合わせた。ツーリストがはしゃいだ歓声を上げても、じろじろ見たり、顔をしかめることもなく淡々としている。ことばが通じなくても、運転手も慣れたものだ。観光客がいることを当たり前に受け止めているようで、もの慣れない旅行者でも居心地がいい。観光立国。その意味をあらためて考えさせられた。

取材協力/スイス政府観光局 スイストラベルシステム/レイルヨーロッパ

 ■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。