認知症は、初期段階の治療で症状の悪化を遅らせることができる場合もある。そのためにも、専門の医療機関への早期受診が欠かせない。
一方、すでに発症している患者や家族へのサポート強化も急がれる。特別養護老人ホームなどの施設が不足する一方で、1人暮らしの高齢者や高齢者同士で介護し合う「老老介護」は増えている。
さらに介護する側もされる側も認知症という「認認介護」という言葉まで登場した。40~50代が親の介護のために離職するケースも目立つ。患者と家族を地域全体で支援する態勢の構築に全力で取り組む必要がある。
在宅介護へのシフトを急ぐ厚労省は昨年、5カ年計画「オレンジプラン」をスタートさせた。早期診断のための医療機関を整備したり、看護師らによる「初期集中支援チーム」が自宅を訪れ、相談に応じたりする。だが、専門医や症状を十分理解してケアできる介護職が足りない。計画を充実させるには専門人材の育成強化が不可欠となる。