「作家は利己主義的で、自分が書いているものが『生きうるのだ』という感情を得るために書く。だから現実の接触があるように、私はインクを使って紙の上に書くのが好きです。書家ではないけれど、はっきり読める字を書くようには気を使っています」
【プロフィル】Jean-Marie Gustave Le Cl●zio
1940年、南仏ニースに生まれる。63年に発表したデビュー作『調書』で、仏の主要な文学賞の一つ、ルノード賞を受けて一躍時代の寵児(ちょうじ)になる。話題作を相次いで発表する一方、インディオの文化や神話研究も手がけるなど文明の周縁への関心も深い。『大洪水』『黄金探索者』など著書多数。2008年にノーベル文学賞を受賞した。
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