若手社員からベースアップを実施したダイヤ精機=東京都大田区【拡大】
2008年秋のリーマン・ショック以降、業績が伸び悩んでいた中小企業にも、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」効果で賃上げの動きが出てきた。「従業員の士気を高めよう」というのが経営者の狙いだ。だが、中小企業の現場からは政府の支援を求める声も上がるなど、大手企業と異なる事情もある。
若手社員から実施
東京都大田区で金属加工業を営むダイヤ精機は、先月から入社5~6年目の若手社員から賃金水準を一律に引き上げるベースアップ(ベア)を実施した。諏訪貴子社長は「これまでリーマン・ショック以降に入社した若手社員に賃上げできなかった。少しでもモチベーションを上げてもらいたいと思い、決断した」という。
大手自動車・部品メーカーを顧客に持つダイヤ精機は、リーマン以降、売上高が6~8割落ち込む厳しい時期もあった。リーマン前の3年間に内部留保していた分を従業員の給与に回してきたものの、「ここ数年は、とても賃上げできる状況にはなかった」(諏訪社長)。