若手社員からベースアップを実施したダイヤ精機=東京都大田区【拡大】
先行きに不安も
業績の先行きへの不安もある。お好み焼きチェーンを展開する千房(大阪市浪速区)は、アベノミクス効果で売り上げが回復してきた。中井政嗣社長は「従業員の給与を上げてやりたいが、ベアは難しい。もう少し回復していかないと難しい」と話す。大阪市の鉄鋼系メーカー幹部も「給与を上げたい思いだが、原材料価格も上がっており、なかなか商品価格に転嫁できない状況」と、今春の賃上げに慎重姿勢を示す。
今春闘をめぐっては、トヨタ自動車や日立製作所など日本を代表する大手企業の業績回復が鮮明になっており、賃上げへの期待感が高まっている。
とはいえ、中小企業にまで恩恵が及ぶにはタイムラグがある。原材料の輸入価格の上昇や電気料金の値上げに伴うコスト増分を製品価格に転嫁できず、収益が悪化しているケースも多い。
政府が目指す「景気の好循環」には企業全体の99.7%を占める中小企業の賃上げがカギとなるが、中小企業の経営者の悩みは容易に払拭(ふっしょく)できそうにない。(黄金崎元)