それはそうだろう。ほとんどの男性は犯罪とは関わりがないはずだ。あらかじめ疑惑の目を向けられる彼らも不快な思いをしているのかもしれない。
改札を抜けると、たっぷりした身体を濃いピンクのサリーでゆったりと包んだ中年女性に二の腕をつかまれた。混雑した道路を横切ろうとしたとき、不衛生な屋台で買いものをしようとしたとき、何度彼女たちに腕をつかまれ助けられただろう。
手をひかれるようにして女性専用車両へ。すでに定員をとっくに超えてぎゅうぎゅう詰めのベンチシートを、さらに詰めて座らせてくれる。「いくつかの点に気をつければ、女性だって快適にメトロを利用できます」。
色とりどりのサリーやパンジャビスーツ。香水の甘やかなにおい。女性車両は華やいでいた。
■取材協力:インド政府観光局
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。