捨て猫ゼロに
地域猫の活動をしている場所に猫を捨てにくる無責任な飼い主が増えており、活動の公表に否定的な大学も多い。今回の取材でも学生から取材可能の返事をもらった後、「活動を世間に知られると捨て猫が増える」と、取材中止を求めてきた大学もあった。
こうした中、倉敷芸術科学大学(岡山県倉敷市)は運営母体である加計学園にちなみ、「かけ猫活動」と名付けた地域猫活動を24年度から大学全体で取り組んでいる。山の上に位置する同大学では捨てられた猫が繁殖して増え、糞(ふん)尿やゴミ箱あさりをめぐって学生から苦情が出ていた。獣医師でもある唐木英明学長と学生が交流する「学長カフェ」でこのことが話題となり、学生が自らで解決する方法を模索、かけ猫活動が始まった。
現在、約70人の学生が参加。当初は生命科学部の学生らによる毎日の餌やりと糞尿掃除の活動がメーンだったが、芸術学部の学生が写真展などで資金集めに協力、不妊手術もできるようになった。野良猫問題は大学内だけでは解決が難しいこともあり、取り組みをウェブサイトや展覧会で発信、地域全体で考えてもらう啓発活動も行っている。