渡辺由佳里(右)さんとネイト・シルバーさん(左)【拡大】
「テキサス州を旅行した友人が『どこの大学出身?テキサス大学?』と地元の人に尋ねられ、『ハーバード』と答えたら、『な~んだ、テキサス大学じゃないの』という反応だったようです」
最近、『ジャンル別 洋書ベスト500』を出した渡辺由佳里さんはこう話す。彼女はボストン在住の文筆家で米国の大学事情にも詳しい。
米国の高校生の大学選びには二つの特徴があるという。まずローカルの大学を重視する。地元で評価の高い大学で人脈を作り、そのままその土地の企業で仕事をするためだ。もう一つは大学名よりもどういう環境で大学生活を送りたいかに重きをおく。都市名優先だ。だからグローバルブランドとか東部に関心のないテキサス人にハーバードの神通力がきかない。
現在、日本で米国の大学というと グローバル化=スーパーエリート=米国有名大学を頂点としたピラミッドの図式が大手を振っているように感じる。
「東大をトップとする日本の大学入試偏差値ランキングのイメージをそのままアメリカの大学にあてはめた結果だと思います」と渡辺さんは語る。
更に、日本でサンプル数の多いMBA(経営学修士)の経験談が、米国の大学像として拡大解釈されている節がある。しかも、中国や韓国に代表されるアジア圏の留学生はブランド信仰が強い。経済が活況化しているアジアの中で日本は後塵を拝するのではないかとの危機感が、日本のメディアや学生の目を一層ブランド校に向かわせる。
しかし、それは歪んだ米国大学像である。そこで米国の高校生はどういう大学の選び方をするのか、渡辺さんに聞いてみよう。