知的財産を専門とする弁護士のステッラ・パドヴァ―ニさん【拡大】
イタリアに長年住んでよく分かったことがある。それは一般人レベルまで含め、ブランドはいかように作られるかをよく知っている、ということだ。フェラーリであれ何であれ、生産の数は限定し、上層階級の人たちに褒められる仕組みを作る。製品を作る場所がブランドの自社工場に限らないことは周知の事実だし、「悪いやつ」が余計に作って横流しすることも百も承知だ。
だからか、ブランド崇拝が強いのにブランドにおカネを払うことに素直ではない。
大がつく知り合いの金持ちの自宅に訪ねると、インテリアは有名デザイナーの家具でいっぱいだ…が、実はそうではなかった。すべてコピー品を作るのが得意なメーカーに作らせたものだ。ブランド品に大枚を出すのはもったいない、と。
青空マーケットに出かけると、ブランドの服やバッグが正価の何分の1かで売っている。何十分の1でさえある。正規品のキズモノもあるが、そもそも本物かどうか怪しい。もちろんニセモノの売買は売った方も買った方も法律違反になる。しかし、それでもなくならない。
いったいイタリアのトップファッションブランドは、今、コピーやニセモノに対してどう動いているのだろう。トレードマークやデザインなどの知的財産を専門とする弁護士のステッラ・パドヴァ-ニさんに聞いてみた。
「この5年くらいです。イタリアのメーカーが本腰を入れ始めたのは」と彼女は話し始める。