知的財産を専門とする弁護士のステッラ・パドヴァ―ニさん【拡大】
「ファッションメーカーのビジネスが服に加えて靴やバッグが重要なアイテムになってきたというのも大きいですね。服と違ってニセモノやコピー品の識別がよりはっきりしやすく、同じデザインが長期に渡り販売されますから意匠登録は『強力な武器』になります」
かつて服が利益の3分の2を稼ぎ出し雑貨が残りであったのが今や半々と言われている。ヴァレンティーノ、ドルチェ&ガッバーナ、ジャンニ・ヴェルサーチェ、ジョルジョ・アルマーニ、グッチといったメーカーだ。プラダやフランスでいえばルイ・ヴィトンなどはバッグが主力商品で、これらのメーカーとはビジネスモデルを異にしてきた。
対策としては登録済みの商標や意匠を十分にリサーチしたうえで、新しいロゴとデザインを時間的余裕もって登録する。その後にコレクションで新作を発表するのが理想だ。しかし、実際はほとんどの場合、登録のタイミングはショーの直前といってよい。
「メーカーによりますが、1回のコレクションのために登録するデザインは平均して10件はくだらないしょうね。それもまずはEUでの確保で、その他の市場は後になります」とパドヴァーニさんは説明する。
もちろん、デザインだけでなくブランドの名前やロゴを本物に似せた商標も頭痛の種だ。まったくの例だが、GUCCIと一見して思わせるCUCCIの類だ。