「日本でいう平均は平均値の集合ですね。だから何でも最初から平均値ばかり狙うわけです。でもフランスで料理をやっていて思うのは、平均とは二つの極の組み合わせの結果なのです。それでバランスが生まれるわけですよ」
ニースと東京でフランス料理店を経営するシェフ・松嶋啓介さん(1977年生まれ)は語る。例えば食材に苦味があれば、それをとるのではなく、他の特徴的なものでカバーする。このアプローチがフランス料理だという。
「サッカーのチームにも言えることで、トルシエと話していても、彼の平均に対する考え方は当たり前だけどフランス式です」と日本とフランスの差異を説明する。
松嶋さん自身、レストランのチーム運営に、このフランス式のコンセプトを適用する。
「このスタッフはこの点ができていないと言って担当を外すのではなく、彼の得意な部分で活躍できることを考え、できない部分は他のスタッフが補う方向で考えます」と。
良い部分を褒めて伸ばすのが教育である、と日本でも繰り返し言われる。しかしながら「平均値の集まりとしての平均」をモデルとしている限り、「凹凸を基本とした平均」モデルとはそりが合わない。
日本の平均モデルが反映された食の現象って何だろう、と松嶋さんにさらに突っ込んでみた。