知的財産を専門とする弁護士のステッラ・パドヴァ―ニさん【拡大】
そして更にトラブルを生んでいるのがネットを舞台としたものである。ブランド名を語ってニセモノが売られる。オリジナルのブランド名に先んじてドメイン名を登録する「目に見えない敵」がいる。熾烈な戦いだ。
しかし、これらの争いすべてにメーカーが顔を突っ込んでいるわけではない。物理的にもコスト的にも無理だ。しかし座視を決め込んでいると思われないためにも「威嚇」して旗印を明確にする必要がある。モグラ叩きであったとしても「我々は不正を見逃さない」、と言い続ける姿勢をブランドイメージとして維持しないといけないわけだ。
よって、いくつかの案件では「敵」に警告を発し、ドメイン名の不正利用であれば閉鎖への法的手段をとる。いずれにせよ、おカネがかかる。かくしてトップブランドになればなるほど「敵」が多く、ニセモノ撃退にコストがかかっていく。
トップブランドのどこも、すべての市場のすべての店先からニセモノを消滅させることができるとは思っていないのは確かだ。どこからニセモノやコピーが消えればブランドイメージが保てていると思われるか?とのポイントに絞り込むしか手立てはない。蓋すべき場所にフタすることを徹底することである。
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安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih