ふわり。身体が宙に浮かび上がった。
ダッカ・コムラプール駅(ダッカ中央駅)。線路に降りて車両を撮影していると、乗るつもりの列車が、車輪をきしませながらゆっくり動き始めるではないか。
そんな……。しばらく停車するからだいじょうぶと言ったくせに。
いつの間にかぐるりと取り囲んでいた見物人たちに急き立てられ、しかたなく線路沿いのがれきを小走りする。ドアのない乗車口にたどりつき、手すりをつかもうと腕を伸ばす。たちまちいくつもの手が差し出されて身体が浮き、気がつけば無事に乗車していた。安堵して笑うと、周囲の乗客も温かく笑う。
途中駅でプラットフォームを撮影しようと、停車しかかった列車から身を乗り出した。車体には、はしご状のステップが垂直についている。靴がすべり、あっと思ったときには、すとん、と線路に落ちていた。したたかに太ももを打ちつけたけれど、けがはない。思わず苦笑いすると、様子を見守っていた乗客は、また笑った。