274キロ、288キロ、291キロ……。
電光掲示板のスピード表示が、ぐんぐん加速していく。フランクフルトからケルンへ向かう15時25分発のICE628号。ドイツ版新幹線とも称される、ドイツ鉄道が誇る高速列車だ。車両の連結部には、秒刻みで変化する時速の表示が、誇らしげに輝いていた。
ちなみに、先頭車両は運転席のすぐ後ろに客席があり、運転士と同じパノラミックな景観を楽しめる。そんな特等席に座っているにも関わらず、乗客はみな新聞を読んだりパソコンを開いたり。誰ひとり運転席に注意を払っていないではないか。もったいないなぁ。出入り口からうらやましげにのぞいていると、車掌が検札にやって来た。
「日本からいらしたのですか。わたしは日本に行き、東京から京都まで新幹線に乗ったことがあります。あれはすばらしい電車です。しかしドイツのICEも、なかなかいい列車です」と車掌。とくに安全性を重視していて、最高時速300キロまでは安全を保障しています。彼がそう言い切ったまさにちょうどそのとき、スピードメーターが最高時速を表示した。なんと302キロ。