「限界を作るのも破るのも自分」と話す演出家の中村龍史さん=東京都港区(野村成次撮影)【拡大】
マッスルミュージカルの依頼を受けたのは透析を始めた後です。振り付けしていたら、いつの間にかおなかからチューブが出てくることもあった。でも、周囲には知られたくなかった。みんなの目が変わると仕事がやりにくくなると思い、「大変ですね」などと言われるのも嫌でした。
僕は健常者と同じようにやっていける。こんな病気ごときで自分の夢を断念したくないし、人生を捨てたくない。日本の演劇、ミュージカル、舞台は悲惨な状況です。だから、もうちょっと爪でひっかいて穴を開け、ひっくり返さないと気が済まない。
20年には元マッスルミュージカルの主要メンバーと「中村JAPANドラマティックカンパニー」を結成し、22年から30代女性を中心にしたユニット「CHANCE」のプロデュースなども始めました。今の日本には大人向けのエンターテインメントがないですからね。自分がやらなければ誰がやるんだ、という状況。悲しんでいる人も笑顔になるような舞台のため、「俺は命を懸けているんだ、ばかやろう」という気持ちです。