向かって左からアイガー、メンヒ、ユングフラウ。3名峰が連なるアルプスの絶景を眺められるのは、前回までご紹介した「シーニゲ・プラッテ鉄道」だけではない。ベルン州の南部に位置するこのあたりの山岳地帯は「ベルナーオーバーラント地方」といい、魅力的な鉄道網が敷かれていてどの列車に乗ってどんなルートを走ろうか、頭を抱えたくなるほど悩ましい。
最初の足がかりとなるのは、ユングフラウ鉄道が運営する「ベルナーオーバーラント鉄道」。通称“BOB”と呼ばれている登山鉄道だ。出発駅は、“湖のあいだ”という名前の通り、山のふもとのトゥーン湖とブリエンツ湖に挟まれた「インターラーケン・オスト(東)」駅。10両編成の長い列車は、ときどき優美なアールを描きながら、心地よいスピードで走り抜けていく。走り始めはまだまだ平坦だ。風景に溶け込んだ町並みなど、人びとの穏やかなくらしの一端が見える。
ベルナーオーバーラント鉄道はこの先、ツヴァイリューチネン駅で二股に分かれ、ラウターブルンネン駅かグリンデルワルト駅を目指す。分岐後は、一部アプト式ラックレールが待ち受けていて、急勾配を登るらしい。