翌朝7時。再びバタワース駅にやって来た。出発は朝8時ちょうど。1時間前には駅で待っているように、窓口のお姉さんから固く言い渡されていたのだ。出発時間が早すぎて、急きょ泊まった宿では朝食の準備が間に合わなかった。駅周辺の売店もすべて閉まっている。駅には売店はない。「食堂車はありませんが、車内販売があります」とお姉さんは言うけれど、なんだか嫌な予感がする。この日は前日移動できなかった分と合わせて、時刻表通りに運行したとしても13時間以上も列車に乗りっぱなしなのだ。
果たして嫌な予感は的中。午後2時半過ぎにクアラルンプールのKLセントラル駅に到着してはじめて弁当や飲料が積み込まれ、この日初めての食事にありつけた。
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら