ここを住処とする鳥の代表が「ブラックキャップド チッカディ」と呼ばれるアメリカコガラ。カナダの記念コインに採用されたこともある名誉ある小鳥だ。帽子をかぶったような黒い頭に、小さなくちばし、黒い瞳が何とも愛らしい。体つきも丸っこく雀ほどの小さい身体にも関わらず、零下20度でも元気に動き回る姿は、まるで「雪の妖精」のようだ。その他、メジャーリーグの1チームであるトロント・ブルージェイズのロゴマークである「ブルージェイズ(アオカケス)」や「グレイジェイズ(カナダカケス)」など、多数の観察が可能。
「私は冬の静かなトレイルを歩くのが好きです。自然と一体になったようで、落ち着いた気分になります。それに煩わしい蚊やブヨがいないのもいいですね。」州立公園内でパークレンジャーとして働くデビッドさんは話していた。
冬のアルゴンキン公園の森を歩いていると、雪の上にはいくつもの動物の足跡が残り、寒さ楽しんでいるかのように森を舞う小鳥たちの姿を見ることができる。蘇った森の新たな住人が、訪れる人たちを迎えてくれる。そんな微笑ましい風景に心温まり、寒さも忘れてしまう。
トロントからは車で約3時間程度。日帰りも可能だが最寄りの街となるハンツビルには2010年にG8サミットの会場となった「ディアハースト・リゾート」もある。数日滞在して大自然を満喫するのもいいだろう。(カメラマン・佐藤良一/旅ライター・鈴木博美)
■さとう・りょういち 写真家。物語のある街を題材に旅行系の媒体で活躍中。ジャンルは問わず、旅先で出会った「色」を大切に撮影。著書に「パラオ海中ガイドブック」(阪急コミュニケーションズ)など。
■すずき・ひろみ ライター。旅を通じて食や文化、風土を取材し、雑誌などに海外各地の旅の記事を寄稿。著書に電子書籍「OL一人旅レシピ」インド編、ベトナム・カンボジア編、エジプト編。ブログ「空想地球旅行」で旅のあれこれを発信中。
■アルゴンキン州立公園に関する詳しい情報はオンタリオ州観光局の公式サイト「オンタリオスタイル」で。