「天国の洞窟」の入場券売り場からカートで移動して520段の階段を上る。さらに入口から300段下るとそこには別世界が広がる=2014年8月26日、ベトナム・クアンビン省フォンニャケバン国立公園(佐藤良一さん撮影)【拡大】
ラオス国境に近いベトナム中部の山岳地帯に広がるフォンニャケバン国立公園には、まだ詳しく調査されていないアジア最大級の洞窟が多数存在する。フォンニャケバン国立公園は2003年、ベトナムで5番目となる世界(自然)遺産に登録された。世界遺産の登録エリアから外れているものの、05年に発見された「天国の洞窟(ティエンドン)」と呼ばれる洞窟は、その中でも最高峰との評価を得ている。
整備が進み10年から観光客が鑑賞できるようになったが、麓の村々が洪水被害に遭ってアクセス道路が寸断。13年から安心して訪問できるようになったという。最寄りの町ドンホイからでも1時間ほどバスに揺られなければならず、外国人客はあまり訪れることのない穴場のスポットだ。
約31キロに及ぶ世界最大級の大洞窟だが、一般公開されているのは入り口から1キロほどだけ。それでも駅前の雑居ビル群が丸ごと入りそうな空間に最新のSFX映画顔負けの異次元の空間が広がっている。
階段にある手すりを触るとぬめぬめしていて、薄気味悪い。鍾乳洞なのにまるで乾き切った廃虚を思わせる光景だが、いまも年間数ミリずつ成長を続けていることがうかがえる。