「天国の洞窟」の入場券売り場からカートで移動して520段の階段を上る。さらに入口から300段下るとそこには別世界が広がる=2014年8月26日、ベトナム・クアンビン省フォンニャケバン国立公園(佐藤良一さん撮影)【拡大】
奥へ、奥へ。焦げ目の付いたマシュマロのように見た目が柔らかそうなもの、陰から「エイリアン」が飛び出してきそうなグロテスクな巨大石柱など数億年かけて生成された鍾乳石が幻想的な空間を作り出す。人は少なく辺りはシーンとして、時折聞こえてくる足音も染み入っていく。
以前は青、赤といった原色を使った中国風の派手派手しいライトアップがなされていたが、最近になって白や淡い黄色といったより自然なものに変更されたという。悪趣味と批判された末に今の状態になったそうだが、見られないとなると今度は見たくなってしまうのが人間の性。それは「未知との遭遇」だろうな。(文:産経デジタル 長浜明宏/撮影:カメラマン 佐藤良一/SANKEI EXPRESS)
■さとう・りょういち 写真家。物語のある街を題材に旅行系の媒体で活躍中。旅先で出会った「色」を大切に撮影。ジャンルは問わない。著書に「パラオ海中ガイドブック」(阪急コミュニケーションズ)など。
■フォンニャケバン国立公園 ラオス国境に近いベトナム中部山岳地帯にある約8万6000ヘクタールの原生林。調査が終わっていないものも含めて大小約300の洞窟がある。2003年に世界自然遺産に登録された。ドンホイにあるホテル「サンスパリゾート」からバスツアーが出ている。