国宝級の文化財の補修を専門とする約300年の歴史がある小西美術工藝社の代表取締役社長である英国人、デービッド・アトキンソン氏が5月末に京都市の国際観光大使になったとのニュースを読んだ。京都市は良いポイントをついたなあと感心した。
アトキンソン氏は日本経済の活性化の強力なエンジンとして観光業の大切さを強調しており、特に外国人、しかもお金を落とす人にもっと日本に来てもらうことを主張してやまない。
彼は元ゴールドマンサックス証券のアナリストだけあって、徹底的にデータを洗い出し、日本への外国人観光客は2030年には8200万人も夢ではないと語っている。世界中で人の移動がさらに増える結果、現在世界1位のフランスへの観光客の8300万人に近づく数字を達成できる可能性があるわけだ(もちろん、その時にフランスへの観光客も増加しているはずだから、1位になると言っているわけではない)。
先日、ミラノのレストランで京都市長の門川大作氏をはじめとする市の方たちと夕食をご一緒する機会があり、その際にアトキンソン氏の任命を話題にしてみた。そこで伺った京都の観光政策はとても興味深かった。
知的レベルが高く文化の価値が分かる人たち、お金をたくさん使ってくれる人たち、こういう人たちに多く京都に来てもらうことが目標なのだ。つまりお金がなくても教養ある若い人が安宿に泊まるのも大歓迎である。
むやみやたらに数を求めないという点に、敷居を簡単に下げない京都の矜持がみえる。