【江藤詩文の世界鉄道旅】タイ国鉄メークローン線(6)酷暑のリベンジ大失敗 名物列車に2度の“失恋” (1/2ページ)

2015.6.28 18:00

線路上に張り出していた傘はすっかり折りたたまれ、警笛を鳴らしながらメークローン線がやって来た

線路上に張り出していた傘はすっかり折りたたまれ、警笛を鳴らしながらメークローン線がやって来た【拡大】

  • 列車が姿を現す直前まで、人々は線路上でカメラを構えたり、線路を横切ったり…
  • 歩くのと変わらないほどゆっくりした速度で通過。左手前ように、車高ぎりぎりの高さに商品を陳列している店も多い

 ファーン。ファーン! ファーンッ!!

 列車の到着を告げるチャイムが市場内に大音量で鳴り響き、売り子が屋台のひさしをのろのろとたたみ終わると、ついに念願のメークローン線が、威風堂々と姿を現した。

 そもそも、市場の構造自体が車体に限りなく接近しているうえ、売り子は動く列車のすぐそばに座ったままだし、国民性なのか、地元の人々は鉄道の目の前を悠々と歩いて横断したり、危ないことこのうえない。

 そのうえ自分も含めて多くの見物客が押しかけているのだ。列車の正面で待ち構えて車体に触れようとする酔っぱらった欧米系バックパッカーや、運転席に向かってフラッシュをたくのは危険行為だが、おかまいなしにストロボを光らせるアジア各国の観光客も多い。メークローン線はのろのろと駅へ入構しながら、いらだたしげに警笛を絶え間なく鳴らし続けた。

 腕をいっぱいに伸ばせば触れられそうなほど至近距離を通り過ぎたメークローン線の車窓は、幸運にも乗車できた観光客が鈴なりになり、灼熱の太陽の下で待ち構える見物客に向かって、まるでスターのように満面の笑顔で手を振っている。あぁ、悔しい。やはり鉄道は、乗らずに外から見ているだけでは、楽しみが半減する。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。