【江藤詩文の世界鉄道旅】タイ国鉄メークローン線(6)酷暑のリベンジ大失敗 名物列車に2度の“失恋” (2/2ページ)

2015.6.28 18:00

線路上に張り出していた傘はすっかり折りたたまれ、警笛を鳴らしながらメークローン線がやって来た

線路上に張り出していた傘はすっかり折りたたまれ、警笛を鳴らしながらメークローン線がやって来た【拡大】

  • 列車が姿を現す直前まで、人々は線路上でカメラを構えたり、線路を横切ったり…
  • 歩くのと変わらないほどゆっくりした速度で通過。左手前ように、車高ぎりぎりの高さに商品を陳列している店も多い

 涙を飲んでから1カ月。ふたたびメークローン市場へやって来た。これまで5回にわたってお伝えしたように、うだるような暑さのなかバンコク郊外からマハーチャイ線に乗り、渡し船に乗り継ぐ、気の遠くなるような移動を再び繰り返したのだ。ところがなんと言うことだろう。わたしが行く3日前から、メークローン線は線路の補修のため、なんと半年にわたって運休してしまった。

 タイ国鉄の職員によると、運休は2015年11月8日までで、11月9日より運行を再開予定。運休期間中はミニバスを走らせている。「ただし11月8日というのは、現在の計画です。タイではよく、工事が遅れますから」と、女性職員は苦笑する。

 あぁ、またもや。すっかり落胆し、マンゴーでも買ってバンコクに引き返そうと市場をうろついた。魚屋も雑貨屋も以前と変わらぬ姿で線路上に店を広げている。「傘を折りたたむ面倒がないから、メークローン線はこのまま走らなければいいねぇ」。果物屋のおばちゃんは、のんびりした口調でそう言った。

■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら

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