【江藤詩文の世界鉄道旅】スイス交通博物館（１）機関車のあだ名がワニ、ゾウ、タコって、いったいどんな… (1/2ページ)

　「気をつけて。そこにワニがいますよ」

　振り返ると、案内係がニヤニヤ笑っている。当たり前だ。こんなところにワニなどいるはずがない。わかっているのに、つい顔を向けてしまった自分の愚かさが恨めしい。

　ここは、“交通天国”スイスが誇る、世界でも最大規模の「スイス交通博物館」。美しいルツェルン湖のほとりに佇む巨大なミュージアムは、およそ４万平方メートルと、広大な敷地に広がっている。館内に入場しなければ、屋外は無料で利用できるから、大きな航空機や列車を眺めながら、ピクニック気分でランチやお茶を楽しんでいるルツェルンっ子もいる。

　展示スペースは約２万平方メートル。「鉄道」「航空」「自動車」「船舶」と、大きく４つのエリアに分かれて、約３０００点が展示物されているが、もっとも充実しているのが「鉄道」と「航空」だ。それもそのはず、そもそもこの博物館は、１９４９年に現在の前身というかたちで、「鉄道」と「航空」専門の博物館としてオープンした。

不定期に入れ替わる２０台　メンテの行き届いた名車たちとの一期一会