TPPで大きく変わる可能性がある肉の価格。消費者の選択肢が増えると期待される=東京都江東区のサンケイスーパー【拡大】
農産物や食品など幅広い品目で関税が撤廃・削減される環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が大筋で合意した。発効すれば、輸入の牛肉や果物などが今より安く手に入るようになるとされ、消費者の期待も大きい。実際は食卓にどのような影響があるのだろうか。(平沢裕子)
豚肉より安い牛肉
TPP発効で、消費者が最も恩恵を受けるとみられるのが牛肉の関税が大幅に引き下げられることだ。輸入される牛肉には現在、38・5%の関税がかかっているが、これが発効1年目に27・5%に、10年目に20%、16年目以降は9%と段階的に30%近く引き下げられる。
東京都江東区のサンケイスーパーの水野竜宏代表は「TPPで関税が下がると、輸入の牛肉ならば、国産の豚肉よりも安く提供できる可能性があります」と話す。
例えば、同店で現在、最も安く販売している米国産牛肉は100グラム当たり150円。38・5%の関税がかかってこの値段だが、関税が27・5%になると同138円、9%だと同118円となる。一方、同店で販売する国産豚肉の平均価格は100グラム当たり128円。現在は米国産牛肉の方が22円高いが、TPPで関税が27・5%になれば、価格差は10円に縮まる。さらに9%になると牛肉と豚肉の価格が逆転し、牛肉の方が豚肉より10円安くなる。