鉄道ファンは世界中にいるけれど、特に“アツい愛情”を感じるのはなんといっても日本で、最近では台湾でも盛り上がりの兆しを見た。けれども日本に負けぬとも劣らない鉄道への深い思慕を感じさせるのが、ここスイスだ。ちなみにドイツもその思いはなみなみならぬものがあるけれど、日本人やスイス人の“盲目的な愛”とは、ちょっと違う気がする。以上すべて個人的な見解です。
そんなことを感じたのは、まるで恋人の髪をなでるような手つきで、除雪車の顔をなでさすっているスイス人男性を見かけたからかもしれない。彼と除雪車ふたりきりの、ほとんど“フェティシズム”の世界。それにしても、たしかに見れば見るほど、その複雑な造形美に引き込まれてしまう…。
「除雪車の登場で、たとえ雪が降る地方でも、通年で走行できる路線が増えたのですよ。いわば人類の知恵のかたまりであり、すごい実力を持ちながら美しいでしょう」。どうやら延々と続きそうな気配を察し、そうそうにおいとました。
展示されている車両のひとつひとつに付けられた説明書きを読むと、スイス人と鉄道がいかに密接によりそって生きてきたか。その歴史が垣間見えるようだ。