【江藤詩文の世界鉄道旅】リヒテンシュタイン・シティトレイン(1)“鉄道のない国”のビックリ発言「スイスがついでにつくってくれりゃいいのに」 (2/2ページ)

2015.10.25 18:00

リヒテンシュタイン公国の首都ファドゥーツを走る「シティトレイン」

リヒテンシュタイン公国の首都ファドゥーツを走る「シティトレイン」【拡大】

  • 観光客が手を振り、ストリートミュージシャンが音楽を奏でる目抜き通り
  • ファドゥーツではあちこちにモダンアートが点在していて、散策が楽しい
  • 「シティトレイン」は2両編成。乗車料金は10.5スイスフラン(約1300円)
  • 侯爵家のプリンセスが手がけるワイン畑は見どころのひとつ。国外へは輸出されていない貴重なワインだ

 移動中の車内には、まるで運動会の入場行進に使われそうな、陽気でリズミカルな音楽が流れる。運転士がノリノリで身体を揺らしているが、この浮かれた音楽は運転士の趣味ではなく、「リヒテンシュタインポルカ」という伝統音楽だそうだ。

 列車ならぬミニバスの強みを発揮して、シティトレインはオープンカフェのある目抜き通りを、店先をかすめるように通過する。鉄道とは異なる風景を見られるし、バスはバスで楽しいものだ。

 しかし運転士は、これをバスとはけして認めなかった。いわく「男の子は、鉄道の運転士になるのが将来の希望のひとつ。自分は子どものころの夢を叶えた」とか。

 「リヒテンシュタインは小さな国だから、鉄道を敷く必要がないと思われているんですよ。あぁ、スイスはあれだけ鉄道をつくるのが得意なのだから、ちょっとこっちまで線路を延ばしてくれりゃいいのに」と運転士。それって隣国とはいえよその国に期待することなのだろうか…。苦笑しつつ、私は列車とは明らかに違うタイヤの揺れに身を任せた。

■取材協力:スイス政府観光局スイス インターナショナル エアラインズスイストラベルシステム

■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら

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