中央スイスの風光明媚な都市ルツェルンで、眩しいほどの日射しを浴びながら、テラス席でスイス産の白ワインとともにランチを取っていた。
このあと3、4時間ほど、ぽっかりと時間が空いている。腹ごなしに散歩でもして、雰囲気のいい喫茶店でお茶を飲もうか。ルツェルン在住の女性マリアナさんに、行きつけのカフェを尋ねてみる。20代後半と若く、おしゃれや流行に敏感な彼女なら、きっといい店を知っているに違いない。
案の定、たちまちいくつものカフェやティーサロン、ケーキショップの名前が挙がった。「目抜き通りには、ブランドショップもありますよ。私なら、ショッピングしてスイス名産のチョコレートケーキを食べるか、登山をするかしら」。
えっ。きれいな英語で言われたにも関わらず、思わず聞き返してしまった。私にとって山登りは、数日かけて準備を整え、ある程度覚悟を決めて臨むものだ。それなのに、なんて気軽に言うのだろう。