乗客のほとんどの用事は、このうちのどれかで済むように工夫されているし、そのうえ乗務員は、スイスの4つの国語のうち3つ(ドイツ語、フランス語、イタリア語。ロマンシュ語はあまり話されないそうだ)と英語を話す。
列車は、先頭から3両の2等車、1両の食堂車、2両の1等車で構成されていて、私のシートは最後尾のひとりがけ。もっとも好きな席だ。席数にゆとりがある場合、個人客と団体客で利用する車両を分けていると言う。
斜め前に、おしゃれなワンピースをスマートに着こなした、年のころ25、26歳の女性ふたりが座っていた。目が合うとにっこり微笑み、きれいな英語を話す。
「ハーイ、中国の北京から来ました。あなたは日本人でしょう? 私たち、東京には何度も行ったことがあって、世界でも大好きな都市のひとつなの」。
中国人だけど声は大きくないからよろしくね。茶目っ気たっぷりに、大笑いしながらそう付け加えた彼女。
最近は、旅先でこういうタイプの中国人女性と出会うことも増えてきた。
■取材協力:スイス政府観光局/スイス インターナショナル エアラインズ/スイストラベルシステム
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら