旅行各社が「クルーズ旅行」の顧客争奪戦を繰り広げている。大型客船を有する外資の“黒船クルーズ会社”の日本市場参入で格安プランが増え、富裕層を対象にした豪華客船の旅から庶民が楽しむ旅行スタイルへと変貌を遂げつつあるからだ。欧米に比べ、クルーズ人口は大幅に少ないことから市場開拓の余地は大きい。クルーズ船で訪日する外国人も増え、今年は年間100万人に到達。大型のクルーズ船が寄港すれば“爆買い”効果も期待されるため、国や自治体も受け入れに向けた港の環境整備などを加速させている。(田村慶子)
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「憧れの初クルーズ旅行では、船からの景色を思いきり楽しみたい」
大阪府摂津市の主婦(64)はそう言って、来年5月に予約している神戸から北海道やロシア・サハリンを巡るクルーズの旅に目を輝かせた。
その日、大阪市内で開かれた阪急交通社主催のクルーズ初心者向けセミナー。この主婦は、家族を代表して「船旅の疑問や不安を解消しに来た」という。セミナー参加者は10人ほどだったが、終了後すぐに2組の夫婦が旅行を申し込み、クルーズ旅行への関心の高さをうかがわせた。