2016年春闘で、連合は大企業が賃金体系全体を底上げするベースアップ(ベア)などの相場を形成し、中小企業などが追従するこれまでの方式を転換する。中堅・中小企業での賃上げ先行に力点を置く「底上げと格差是正」を狙う。安倍晋三政権が経済界に賃上げを要請する「官製春闘」が定着する中、連合は存在価値を示すことができるだろうか。
「大手がベア3000円の要求なのに、中堅がそれを上回る4000円を要求するのはおかしい、といった悪しき考えを払拭(ふっしょく)させる」
連合総合労働局の須田孝総合労働局長は、ことあるごとにこう話す。逢見直人事務局長も1989年の連合発足以来の「春闘闘争方針の最も大きな転換」と評価する。
過去2年の春闘は、政府が賃上げを呼びかけ、企業がそれに歩調を合わせ、ベアや賃上げにつながった。しかし、現実には賃上げは大企業ばかりで、中堅・中小企業はそのペースに追いつけず、格差は広がるばかりだ。
神津里季生会長は「中小企業や非正規雇用で働く人々に光をあてなくてはならない」と、中堅・中小企業での賃上げを最優先する方針を強調する。
この方針が最も鮮明になったのが各労連や労組の要求だ。春闘相場のリード役である自動車、電機ではベア要求が3000円以上。昨年は6000円以上の要求で、半減となった。現実路線へ転換したという見方もあるが、連合や労組は、賃上げの原資を非正規や中小企業にも回してほしいと考えている。