別の都内の30代の男性は、妻の言葉の暴力に悩む。男性は高卒で、一流大卒の妻から学歴をののしられる日々にじっと耐え続けている。妻の口癖は「これだから高卒は…」。男性は「俺はダメなんだ」と思い悩み、離婚も考えたが、子供はまだ2歳。「妻に引き取られる可能性もあるので一歩が踏み出せない」
「男としての立場」
警察庁の統計によると、DV被害相談件数は年々増加し、平成26年には過去最多の約6万件。うち男性の被害は約6千件(10・1%)で22年の約800件(2・4%)から7・5倍に激増している。
「家庭内のトラブルを外には知られたくない。そんな理由から多くの男性が、『助けて』と声を上げられない状態が目立っている」
こう指摘するのは、DV被害男性らの相談を受ける森法律事務所(東京都中央区)の森公任(こうにん)弁護士。被害男性に目立つのは「職場や親族に知られれば男としての立場がなくなる」という意識だ。周囲にも性差に基づく固定観念が強く、男性側が被害を訴えても「そんなはずはない」と信用されない場合も珍しくないという。