しかし、清流鹿は「全くクセがなく、初めて食べる人でも肉の良さが分かる」と加工施設の職員も自信を見せる。「清流鹿は、アユなどが取れるきれいな川の水を飲み、豊富な食糧がある山で生きている。紀伊半島は気候も温暖で、冬も寒さが厳しくない。他の過酷な環境で生き延びているシカよりも肥えて肉質もいい」という。
また、捕獲から2時間以内のもののみ食肉に加工するなど、こだわりも見られる。加工施設の職員は「体内に血液が残ると、嫌な臭味が発生する。すぐに処理することで血抜きも完璧になる。こうして、ブランドの質を落とさないようにしている」と話す。
加工後は0~1度に温度管理された熟成室で保管される。シカ肉は筋肉質なため、繊維が硬い。それを熟成させることで肉質を柔らかくする。「口に入れた時に味の魅力が100%出るように心がけています」。加工施設の責任者を務める深海政也さん(39)はそう話す。