「インナーパイルだけに頼ってはいけない」と、30歳の社長、神藤貴志さんは考え、シャトル織機より新しいレピア織機でも製造できる独自商品の開発を古参の従業員と手がけた。
そこで考案したのは「2・5重タオル」。3層構造のガーゼタオルで真ん中の1層を粗く織り、インナーパイルに通じる軽さと柔らかさを実現した。
神藤タオルの新しい“看板”だ。
引き継ぎもなく社長に
そんな神藤さんが社長に就任したのは平成26年1月。87歳だった先代社長の祖父、昭さんが前立腺がんで亡くなったためだ。「突然亡くなり、引き継ぎもなしに何も分からない状況でした」と振り返る。
実は、神藤さんは少年時代の大半を川崎市で過ごした。神藤タオルは父方の実家ではあったが、長男の父は東京で就職した銀行員。父の海外勤務で英国に3年滞在するなど、これまでの生まれ育ちは、大阪とほとんど関係なかった。
それでも後継ぎとなったのは、上京してきた昭さんのひと言だったという。
「継がないなら、たたむ準備をせなあかん」
10年ほど前、就職活動を控えた大学3年生の時である。「100年もの歴史がある会社が終わってしまうのは、もったいない」と一念発起し、卒業後の平成20年4月、神藤タオルに入社した。