そもそも抗体はマウスやウサギや培養細胞から作製するため生産量が少なく高価であるため、用途が限られていたが、塚本教授はダチョウの卵を用いることで、従来の4000分の1の低コストで高品質の抗体を大量生産することに成功。「また、熱や酸、アルカリに強いので、大量消費型の製品へ応用が実現します」と塚本教授。ダチョウ抗体は、花粉症やアトピー性皮膚炎、ニキビなどに特化した製品(マスクや化粧品など)にも応用されている。
感染予防が重要 蚊だけをターゲットにしていてはダメ
リオ五輪開幕を控え、ジカ熱の感染拡大が懸念されている。共同通信によると、カナダ・オタワ大のアタラン教授(公衆衛生学)が米学術誌「ハーバード・パブリックヘルス・レビュー」に寄稿し、2015年以降、過去に比べて重症例が増え、「少し以前に考えられていたよりも危険な病気」と指摘。「五輪で世界からさらに50万人の旅行者が訪れ、感染してウイルスを自国に持ち帰れば、世界的な大惨事になりかねない」と警告している。
また、感染経路は蚊だけではなく、性交渉で感染することが米疾病対策センター(CDC)の調査で判明。さらに、6月2日付NYタイムズ紙(電子版)は、オーラル・セックスでの感染の可能性を科学者らが提起-と報じている。
「蚊のみをターゲットにしていてはいけません。感染を拡大させないために、予防が最優先課題となります」と塚本教授は警鐘を鳴らしている。