
理容店の組合が開いたセミナーでは、「就活ヘア」のカット実演が披露された=奈良市【拡大】
組合ではデータをもとに、「就活ヘアプロジェクトマル秘マニュアル」を作成。加盟店に配布し、就活を控えた学生のニーズに応じたカットができるようにしている。マニュアルは単にカット法の伝授にとどまらず、企業の採用担当者らが「好ましい」と感じる身だしなみから面接での受け答えまで、就活に関する情報が満載。カットしながら就活生の悩み相談も受けられるという優れものだ。
「刈り上げには抵抗」
「就活生の髪形に、もっと責任を持ちたい」。プロジェクトは、奈良県生駒市で理容店を営む同組合の青年部長、大月靖彦さん(42)のそんな思いから生まれた。
昔ながらの常連客も多い大月さんの店には、若い男性客も通う。だが、「就活なら刈り上げがいいのでは」と勧めると、「刈り上げには抵抗がある」と拒否反応が多かった。無理強いもできないので、「髪が耳にかかる程度」にしていたという。
確かに、染めたり伸ばしたり…と、自由なヘアスタイルを楽しんできた学生たちが「黒髪、刈り上げ」にいきなり変えるのは、抵抗感が強そうだ。ただ、大月さんが店で接する利用客には、就活で面接官を務める立場の男性も多く、仕事を通じた会話の中から、「耳にかかるような中途半端なスタイルはよくないのでは?」と兼ねてから感じていた。