がん治療薬「オプジーボ」など高額薬による国の医療費増大が問題となる中、日本赤十字社医療センター(東京)が「同じ効果、同じ副作用なら価格が安い抗がん剤を使う」との院内方針を決めたことが21日、分かった。化学療法科の国頭英夫部長は「国民皆保険制度のもと、日本では高額薬であっても医師は価格を気にせず処方してきた」と指摘。海外では同様の決定が報じられた後に薬価引き下げにつながった例もあるが、薬価を比較した上で使用する薬を決めるのは国内で異例とみられる。
国頭氏によると、同センター化学療法委員会が5月下旬に方針を決定。大腸がんの抗がん剤「サイラムザ」と「アバスチン」を比較し、価格が高いサイラムザについて、大腸がんに使用しないことも決まった。
2剤はがん細胞が栄養を得るため血管を引っ張る動きを妨げる効果があり、他の抗がん剤と併用する。サイラムザは胃がん用に平成27年に発売され、今年4月、大腸がんに適応拡大。アバスチンは大腸がん用に19年に承認されており、国頭氏によると「大腸がんに対し、2剤は効果も副作用も変わらない」という。