ただ、価格は体重60キロの患者が半年間使用するとアバスチンが150万円なのに対して、サイラムザは427万円と約2・8倍。そのため、センターは「他に薬がない胃がんにはサイラムザを使っても、大腸がんでは使わない」とした。
米国では米紙ニューヨーク・タイムズが2012年10月、ニューヨークのスローンケタリング記念がんセンターがアバスチンと効果や副作用がほとんど変わらない高額な新薬を使わない方針を示したと報じた。米在住の大西睦子医師は「米国では一般的に新しい医療はより良いものと理解される。センターの決定は異例のことと受け止められた」と話す。同紙は翌月、「製薬企業がこの新薬を50%引きして医療機関に販売する」と報道。新薬の価格はその後、実際に下がった。
日本では上限を超えた医療費が医療保険から支給される「高額療養費制度」で患者負担が抑えられることもあり、同じ効果なら安価な薬剤を使うという考えは浸透していない。国立がん研究センター前理事長の堀田知光・国立病院機構名古屋医療センター名誉院長は「高額薬は増えており、医師も患者も保険財政の負担を考える時期に入ったのではないか」と話している。