橋本英樹住職(50)は「『寝たきりで、妻の遺骨を納めに行けない』『絶縁していた親類の遺骨があるのですが…』などの相談を受け、どうしたらいいのかを考えているときに送骨の話を聞き、人の役に立つ方法だと思い始めました」と話す。
利用者の事情は千差万別。橋本住職によると、独身で認知症を患っていた人の成年後見人が送ってきたこともあれば、それまであった墓を取り潰してしまう「墓じまい」をしたので遺骨を置く場所がないといったケースもあるという。橋本住職は「親の墓を子供が守るという時代は終わりつつあります」と話す。
葬骨が注目を浴びるようになったのは10年ほど前。富山県高岡市の日蓮宗大法寺が、墓の承継者がいない人向けに建てた合葬墓に、各地から骨壺が送られてきたことが先駆けになったといわれている。その後、全国各地に送骨を受け入れる寺院や霊園が散見されるようになった。「新しい供養のかたち」とうたって、インターネットで大々的に宣伝する寺院も現れ、その数はざっと見るだけで50件近くになる。