「供養を軽視」
斬新な試みなだけに反発も強い。曹洞宗の内部文書では送骨を「社会の要請に応えたものかといえば、それはノー」「供養する心を軽視し、檀信徒の信仰心を滅減させる、もしくは失わせる結果にもつながりかねない」などと批判している。
司法でも、送骨による永代供養墓を始めようとした愛媛県内の寺院が、行政による不許可処分の取り消しを求めた訴訟の判決(寺側敗訴)で、「(送骨サービスは)国民の宗教感情に反するとしてもおかしくない」と言及している。
とはいえ、送骨の認知度が広がりつつあるのは事実。そして、送骨の利用者に信仰心や供養の気持ちがないのかといえば、そうではないという事実もある。鈴木さんは「遺骨を送りっぱなしではなく『法要をしてほしい』と言ってくる方もいらっしゃいます。それに『送骨を考えているのですが』という仙台にいる方が、わざわざ熊谷まで永代供養墓を見にきたこともあります」と話す。
送られてきた遺骨が眠る見性院の永代供養墓は山門脇にあり、花が手向けられていた。花が途切れることはないという。誰が供えているかは分からないが、もしかしたら送骨サービスの利用者なのかもしれない。(『終活読本ソナエ2016年夏号』「お墓の値段」特集から)