政府としては、無期契約社員ではなく、できれば限定正社員化を推し進めたい。そのため、有期社員を正社員化した会社に対しては、対象者1人につき数十万円の助成金を支給しているくらいです。冒頭で挙げたユニクロやスターバックスは、まさに政府方針にも沿った対応といえるでしょう。
しかし、先ほど述べたように、多くの企業は限定正社員ではなく、無期契約社員を選択すると思われます。「何とか人手不足は解消したいけど、かといって人件費の上昇は極力抑えたい」というのが、多くの企業経営者、人事担当者の本音だからです。
この問題以外にも、短時間労働者に対する社会保険加入対象者の拡大、最低賃金の引き上げ、同一労働・同一賃金実現に向けて予測される法改正など、企業の人件費が上昇していく要因には事欠きません。その一方で、ここ数年堅調であった上場企業の収益にも陰りが見えてきました。
私から企業へのアドバイスとしては「目先の人手不足解消や政府方針だけでなく、将来の収益や人員見通しに基づく慎重な対応をしてください」。有期社員の方々に対しては「希望者にとっては、正社員転換できる大チャンスです。転職することも含めて、この機を逃さないように」といったところでしょうか。
(新経営サービス 常務取締役 人事戦略研究所所長 山口俊一=文)(PRESIDENT Online)