「財産差し押さえる」
4月1日には勤務日数分の給与が約束通り振り込まれた。そうして安心したのもつかの間、4人のもとに届いたある文書が、平穏な空気を切り裂いた。
「損害賠償請求書」。サロンの社長名の通知だった。
《当社は貴殿を誠心誠意教育し、指導させていただいたにもかかわらず、一方的かつ突然の退職の申し出により甚大な損害を被っております》
《つきましては損害賠償を求めます。期日までにお支払いいただけない場合には、身元保証人にもご請求させていただきます》
会社側が支払いを求めたのは、教育・指導費や新規採用経費など1人当たり計59万円。振込口座も記されていた。
4人は代理人の弁護士を通じて「退職届は受理されており、合意による退職で損害賠償義務はない」と回答。すると会社側は4人の身元保証人である親に対しても「支払わない場合は財産や給与を差し押さえる」と追い込みをかけた。
4人が応じないでいると、会社側は「賠償金を払わなければ恐喝罪で被害届を出す」とまで通告していた。9月以降には4人を提訴したうえ、身元保証人にも損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした(保証人への請求は後に取り下げ)。
「ブラック企業だ…」。4人とて黙ってはいられない。合意のうえの退職なのに、違法な賠償要求を受けて精神的苦痛を受けたとして、会社側に計約480万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴したのだ。