「育児や家事の完璧を求められてつらい」…切実な父親の相談
森永乳業がこうしたセミナーを開いたのは、昭和50年に始まった同社の育児無料相談窓口「エンゼル110番」に寄せられる相談の内容が近年、変化してきたためだという。
たとえば、かつて父親からの相談は「病院でミルクを10ミリリットル多めに作るよう言われたがなぜか」「首が据わっていなくても新幹線やフェリーに乗せても大丈夫か」といった理論的な疑問が多かった。だが、ここ2年ほど、「妻に育児や家事を完璧にするよう求められてつらい」「子供がかわいいと思えない」など、育児参加しているのにうまくいかないという心情を訴える父親が増えてきたという。
そもそも父親の相談者はほぼ皆無だったが、平成28年8月には全体の1・9%を占めるまでに。相談員の為我井圭子さん(56)は「育児に積極的に参加する男性が“イクメン”と呼ばれるようになり、それだけ育児にプレッシャーを感じる父親が増えた。夫婦関係の相談も増えており、都道府県の男女共同参画センターや地域の保健センターに相談するよう勧めることもある」と説明する。
為我井さんによると、女性は複数のことを同時進行できる人が多いが、男性は一つのことに集中する方が得意で“ながら作業”は苦手な傾向があるなど、男女にはそれぞれ得意や不得意がある。為我井さんは「相手に完璧を求めないこと。その上で、お互いに感謝の気持ちを示すことが大切」とアドバイスしている。