ほう。フランスから遠く離れた東洋の日本でも、趣味という点において、明瞭な階層差が観察されるではありませんか。この図は、授業で「ディスタンクシオン」の話をする際に使える、いい教材になりそうだなあ。
こういう差異を大げさに取り上げて何が面白いのか、という意見もあるでしょう。どういう趣味を持とうが個人の勝手であり、別にとやかく言うことではありません。
しかし、教育社会学の観点から重要な問題を提起できます。こうした親世代の趣味・嗜好の違いが、子どもの教育達成の格差に転移されはしないか、ということです。
学校で教えられる抽象的な文化に親しみやすいのは、明らかにピンク枠の家庭の子弟でしょう。家には、各種の蔵書も多いと思われます。
歴然たる差 親の貧富別「子どもの趣味」実施率
ちなみに親の趣味・嗜好が子どもに伝播するのか分かりませんが、子どもの趣味も家庭環境によって違っています。図2は、小学生(10歳以上)の趣味を、貧困層と富裕層で比較したものです。横軸に年収300万未満、縦軸に年収1500万以上の児童の実施率をとった座標上に、33項目の趣味を配置しています。
実斜線は均等線で、このラインより上にあるのは、貧困層より富裕層の子どもの実施率が高い趣味です。趣味をやるにもお金がかかる面があるのか、ほとんどの項目で富裕層の実施率のほうが高くなっています。逆に、富裕層より貧困層の子どもの実施率が高いのは、カラオケやキャンプくらいです。