一方、富裕層では美術鑑賞、海外観光旅行とも、実施率が上がっています。「人物重視」「生きる力」といった教育界の動向をいち早く察知し、わが子を適応させる戦略を取っているのかもしれません。間もなく公開される2016年のデータでは、どうなっていることか。
学校でのアチーブメントの規定要因として、家庭の経済力が大きいことはよく知られていますが、実際のところは、こうした経済資本よりも、ここで垣間見たような「文化資本」の影響が強いと思われます。
その意味で、見えざる文化の「差異(distinction)」を可視化するのは意義あることであって、家庭の文化資本の量と子どもの教育達成の相関を明らかにする研究も必要になります。
それは、家庭と学校の文化的距離を縮める実践を促すエビデンスにもなります。外国籍の子どもも増えてくる中、「文化と不平等」という視座を据えることも求められるでしょう。(宮島喬『文化と不平等』有斐閣、1999年)。
(教育社会学者 舞田 敏彦 教育社会学者 舞田敏彦=文・図版)(PRESIDENT Online)