
画像はイメージです(Getty Images)【拡大】
恐縮しすぎの店員に「逆に恐縮」
この店、驚くことに全テーブルが子連れでした。全席子連れの焼肉店というのは初の体験だったのですが、恐らくは近所の人々の間で「子連れにやさしい焼肉店」という評判が立ち、こうした状況になったのかもしれません。店の紹介文にも「子供から高齢者までお楽しみいただけます」「子供の進学祝いに焼肉をどうぞ」みたいなことが書かれてあるわけですね。だからファミリー層を重要顧客としていることはよく分かりました。何かと気を遣いがちな小さな子連れの家族からすれば助かるお店なのでしょう。そんなわけで若干私たちが場違いな感じになってしまったのですが、奥の席に案内されている間、店員から頭を下げられ、席に着いてからも「すみません」と言われます。
もう恐縮するのはやめていただきたいので、すぐに「生ビール2杯とナムルとタン塩……」と注文をしたところ、「すみませんねぇ」とまた言われる。ビールはすぐにやってきたのですが、そのとき、彼女は「お待たせしたので、このビール、サービスします。本当にすみませんでした」と言いました。「そんなことしないでいいですよ~」と言うなど、あまりにも彼女が恐縮を続けるものですから、こちらも恐縮するというワケの分からない展開になってきました。
そして、肝心の味なのですが、「うん、このモヤシのナムルウマいね」「タンもおいしい!」などと私たちは言い合うのですが、互いに本心ではないことは分かります。
「せっかくの休み、しかも外に並んでまで待って入ったんだから、この店での体験を満足したと思い込みたい」
こんな気持ちから、我々の間では店をホメ合い、「我々の選択肢は正しかった」とやりたいと思ったわけです。
混乱続きで「この店を選んで良かった」ホメ合いも崩壊
しかしながら、暗雲が立ち込めたのは隣の席の客と店員のやり取りを聞いたときからです。穏やかそうな夫と美人な妻にかわいい赤ちゃんの3人家族でした。夫はにこやかな表情を浮かべているのですが、なかなかチヂミが来ないことに対し諦めムードが入っています。
「忙しいんだねぇ」
「そうだねぇ」
と夫妻でやり取りをしていたのですが、ようやく来た別の店員に「もしチヂミの注文入が入っていて、まだ作っていない場合は、キャンセルでお願いできますか?」と言いました。店員は「すいません!」と言い、踵を返し確認に行きます。よくあるじゃないですか。締めの炭水化物を頼んだところ、なかなか来ないものだからいつしか満腹中枢も満たされてもう食べなくてよくなることって。だったらキャンセルして、少し会計を安くするほか、さっさと店を出るか、みたいな気持ちになるものです。